2016/10/19

新作「飯舘村」解説



高さ5.4m×幅16.4m
紙に水彩








飯舘村は、福島第一原発事故の影響により、現在も全ての農民に避難指示を出されている福島県の農村です。


飯舘村は、福島第一原発から30キロから40キロほどの距離がありますが、
一番放射能が大量に空気中に放出した日に、運悪く風向きが飯舘村の方向に向いていたため、深刻な影響を受けてしまいました。



加川撮影(2015年,2014年)









緑のシートの中は、汚染された土がつまった黒いフレコンバッグが山積みされています。
広い農地などに置かれています。


村のいたるところでこのような光景が見られます。



飯舘村で先祖代々暮らし、避難解除後にすぐに飯舘村に戻ろうとする年配の方のインタビューを何度かテレビで見ました。

農業と畜産業が盛んな飯館村の人々は、とても土地、大地との結びつきが強い印象を受けました。

しかし、一緒に暮らしていた子供や孫は放射能の影響が心配で、すでに離れた土地で新しい生活を始めている方々が多いようです。


大地との結びつきが強いばかりに、子供や孫と離れて暮らす道を選んだ方々は、
「先祖代々の地だ」「この地で死にたい」と言いながら涙をながしていました。

なんとかそんな人々の想いを表現できないかと、制作したのが今回の作品です。







作品に描かれているのは、農家によくある家の中から、飯舘村の風景を見ている光景です。



しかし、中央の部屋と左右の部屋で季節や状況がまったく違います。




画面中心の窓は開かれ、奥に見えるのは原発事故の影響のない、秋の田園風景です。
飯舘村の関沢や沼平の風景を元に描きました。



窓が開かれ、風が吹き込んでいます。縁側には赤いランドセルが置きっぱなしで、子供がそのまま遊びに行ったような様子です。





赤ん坊のカゴも書き入れました。震災の影響がなければ、どの家にもあった光景です。




画面の左右の部屋から見える風景は、飯舘村の現状の冬です。

画面右部分

画面左部分

汚染土が入ったバッグが庭に置かれ、田んぼだった場所には重機でフレコンバッグを積み重ねる作業が行われています。



部屋の中をよく見ると、中央の部屋の窓から入ってきた無数の赤トンボが、左右の部屋を飛び回っています。
日本の農村の象徴とも言える赤とんぼ。彼らだけは時間の壁を超えて左右の部屋にも入れる存在として描いています。



「飯舘村」はこのようなことを考えて描いた絵です。




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